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2023年 8月 取り外し矯正装置の夏のご注意

毎日暑い日が続きますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?さて、夏といえば夏休み。取り外し式の機能的矯正装置を使用中のお子さんは頑張り時です。いつもよりお家にいる時間が長いので日中でも使える時間が増えそうですし、逆に生活が不規則になり、夜更かしばかりで装置があまり使えなくなったりしていないでしょうか?

また、最近、市販のマウスピース洗浄剤による装置の損傷を目にすることがしばしばありますので、その他、夏に起こりがちな取り外し装置のトラブルのアレコレをまとめてみましたので、ご参考になさってください。

 

 

1 日中にも使ってみよう

夏休み、ついつい夜更かししたり、お祭りや部活などのイベントで忙しくて、装置の使用がおろそかになっていませんか?毎日使っていてもあまりにも使用時間が短いと装置の効果がでません。通常、就寝時間8時間くらい使えていれば問題ありませんが、ちょっと足りないなという場合やよりしっかり歯を動かしたい場合は、日中のお家時間にも使ってみましょう。テレビを見ている時やゲームをしている時、宿題中でもいいです。気づけば3時間くらい経っていたなど、探してみれば意外と使えそうな時間はあるものです。

もちろん10分や20分でつけたり外したりは、歯を動かすという意味ではあまり効果になりませんが、装置に慣れず、寝るときに無意識に口から出してしまうような場合には装置に慣れるという意味では効果があります。

夏が終わった時、勝ち組か負け組が?皆さん次第です。

 

2 かびに気を付けよう

暑い季節、湿気たままの装着やケースにカビが生えたりしていませんか?毎日洗っていてもこすり方が足りないと、落ち切らない汚れがたまっていきます。お口の中で装置に付く汚れ、すなわち歯垢は細菌の塊です。お口から出してケースに保管している間にも湿度と温度があれば繁殖して増えていきます。さらに濡れたまま暖かいところに置いておくと空気中のカビ菌も繫殖しますので、ケースの内側がヌルヌルしていたり、中にキッチンペーパーを敷いている場合ペーパーにカビが生えていたり…。気温の高い夏は菌の大繁殖シーズンです。

まずは装置をブラシでしっかりこすり洗いすること。歯垢は薬液や流水だけでは落ちません。カチカチの歯石になりそうなら歯磨き粉の研磨剤で細かい窪みまでしっかりこすり洗いしましょう。ケースにしまう時はよく拭いて、乾燥した状態を保ちましょう。ケースも清潔に保つよう気をつけましょう。

 

3 洗浄剤について

原則として入れ歯洗浄剤は使用しないでください。矯正装置の樹脂のレジンは入れ歯の樹脂とは素材的に性質がかなり違います。入れ歯用の洗浄剤に含まれる成分には矯正装置のレジンに合わないものがあります。そういったものを使用した場合、レジン部分に細かいひび割れが入って白っぽく不透明な感じになり、レジンがもろくなって割れたり欠けやすくなります。洗浄剤はメーカーによって成分が違うため、すべての入れ歯洗浄剤がダメというわけではありませんが、ダメなものとそうでないものの区別がつかない場合は入れ歯洗浄剤は避けた方が良いでしょう。

また、近年では矯正用マウスピース洗浄剤も色々市販されてきていますが、こちらもまれに合わないものがあるらしく、先日いらした患者さんで保定用のリテーナーがひび割れで白濁してしまった方がいました。矯正用マウスピースというとレジンでなくシリコンやポリエチレン系のものもありますので、使用された洗浄剤がそういったもの専用だったのかもしれません。

レジン系素材の矯正装置に関しては一番確実なのは歯磨き粉をつけて歯ブラシで細かい部分までよくこすることです。こすり方がたりないと上記のようにカビが生えたり、残った歯垢が唾液中のカルシウムと結合して歯石になって落ちなくなってしまいます。

 

<装置にこびりついて落ちなくなった歯石>

 

 

4 熱に気を付けよう

装置の樹脂製のレジン部分はあまりに高温になると変形します。この季節気を付けたいのは日中高温になりがちな車内。特に車のフロントガラスの直射日光の当たる部分は高温になりますので、置きっぱなしにしないようにしましょう。洗う時も人肌位のお湯までにし、食器洗浄機や乾燥機にはかけないでください。

熱で変形と言っても、ぐにゃぐにゃになるわけではなく、全体に歪みが出る感じになりますので、見た目では変形に気づかないかもしれません。装置を付けてみておかしいと思ったら、来院しましょう。

 

5 お泊まりの時は

夏といえば、合宿や家族旅行などのお泊まりイベントですが、お泊り先での紛失や忘れ物に要注意です。一日二日のお泊りなら持っていかないようにしましょう。また、人の出入りが多い場所や沢山人が集まるような場所での紛失には気を付けましょう。装着を外したら必ず直ちに専用のケースにしまいましょう。絶対にやってはいけないのはティッシュペーパーや紙ナプキンでくるんだり、ポケットに直にいれたりです。ゴミと紛れて捨ててしまったり、つぶれて変形してしまう最大の原因です。

 

6 久しぶりにつけてみたらきつかった…

外泊・付け忘れ、そんな様々な理由で装置を付けるのが久しぶりになってしまった。そんな時、「あれ?なんかきつい」「つけると痛い」または「全然はまらない」などといったことになります。使わなかった日数分、せっかく良い方に動いていた歯が元に戻ってしまったからです。

多少きつくともきちんとはまるようなら、毎日しっかり装着していればすぐにリカバリー出来ますが、この時きちんと正しい位置まではめられず、浮いたような状態になってしまうなら、装置を調整し直す必要があります。使っていなかったことを怒られるのが嫌でそういったことに気づかないふりをしていると歯が変な方向に動いてしまいますので、気をつけましょう。

もちろん全くはまらない場合や痛くて使えない場合も早目に再調整に来院しましょう。