今月も症例のご紹介です。先月にはMBSによる全顎の矯正治療についてご紹介しましたね。
成人の矯正というと、基本的には全顎の治療が必要ですが、場合によっては前歯のみの部分治療が可能な症例もあります。
「奥歯が比較的問題なく咬めている」「前歯の並びを治した後、前歯が問題なく咬める」などの条件が満たされた場合です。
反対に、例えば先々月のインプラント症例のように、ただ歯をきれいに並べただけでは前歯の出た感じが治らない場合や、先月の受口の症例のように受口の度合が大きすぎる場合は、上下をまっすぐに並べただけでは、上の前歯が下の前歯を超えることができませんので、全体での治療が必要になります。
もちろん、部分的にしか装置をつけずに治療した場合は、全体的に治療した場合ほど完全に治すことはできません。しかし、矯正治療を希望される患者さんの中には、出来るだけきれいに完璧に治したい方もいらっしゃれば、前歯の凸凹だけが気になるので最低限の治療で治したいとおっしゃる方まで様々です。もちろん、部分的な治療が可能であれば治療費や治療期間を抑えることができます。
当院では、可能な限り患者さんのご希望に添えるよう、丁寧なカウンセリングのうえで、様々な治療バリエーションをご提供できるよう心がけています。
以下に、部分的に矯正治療を行った症例を集めてみましたので、ご参考になれば幸いです。
＜症例１ ２１歳 女性 叢生＞
| 治療装置 | 上顎前歯６歯のみMBS装着 |
|---|---|
| 治療期間 | ９ヶ月 |
| 矯正管理料 | ２０万円（検査料・処置料 別途）
その他 治療データ詳細 巻末 |
治療前
治療中
治療後
＜症例２ ２７歳 女性 反対咬合＞
| 治療装置 | 上顎前歯６歯MBS（舌側矯正）＋大臼歯リンガルアーチ装着 |
|---|---|
| 治療期間 | ９ヶ月 |
| 矯正管理料 |
３０万円（検査料・処置料 別途） その他 治療データ詳細 巻末 |
治療前
治療後
＜症例３ ４０歳 女性 正中離開＞
| 治療装置 | 上顎前歯２歯のみMBS（舌側矯正）装着 |
|---|---|
| 治療期間 | ３ヶ月 |
| 矯正管理料 |
７万円（検査料・処置料 別途） その他 治療データ詳細 巻末 |
治療前
治療後
＜症例４ ２５歳 女性 空隙歯列 上顎両側側切歯先天性欠如＞
| 治療装置 | 上顎前歯４歯＆第一大臼歯MBS装着（舌側矯正） |
|---|---|
| 治療期間 | １０ヶ月 |
| 矯正管理料 |
２０万円（検査料・処置料 別途） その他 治療データ詳細 巻末 |
治療前
治療後
＜２６歳 女性 叢生＞
| 治療装置 | 上顎前歯６歯＋下顎前歯６歯MBS装着 |
|---|---|
| 治療期間 | 1年３ヶ月 |
| 矯正管理料 |
４０万円（検査料・処置料 別途） その他 治療データ詳細 巻末 |
治療前
治療後
以下 治療データ詳細
症例１
主訴： 乱ぐい歯 診断名：叢生 年齢：21y2m
治療装置：上顎前歯部マルチブラケット装置 抜歯部位：非抜歯
治療期間：9か月 治療費：矯正管理料として２０万円（検査料・処置料別途）
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について：症例５参照
症例２
主訴： 受け口 診断名：叢生、反対咬合 年齢：27y0m
治療装置：上顎前歯部マルチブラケット装置（リンガル） 抜歯部位：非抜歯
治療期間：9か月 治療費：矯正管理料として３０万円（検査料・処置料別途）
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について：症例５参照
症例３
主訴： 隙っ歯 診断名：正中離開 年齢：40y10m
治療装置：上顎両側中切歯マルチブラケット装置（リンガル） 抜歯部位：非抜歯
治療期間：３か月 治療費：矯正管理料として７万円（検査料・処置料別途）
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について：症例５参照
症例４
主訴： 隙っ歯 診断名：空隙歯列 年齢：26y2m
治療装置：上顎前歯部マルチブラケット装置 抜歯部位：非抜歯
治療期間：10か月 治療費：矯正管理料として２０万円（検査料・処置料別途）
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について：症例５参照
症例５
主訴： 乱ぐい歯 診断名：叢生 年齢：26y6m
治療装置：上下顎前歯部マルチブラケット装置 抜歯部位：非抜歯
治療期間：1年３か月 治療費：矯正管理料として４０万円（検査料・処置料別途）
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について：症例１～５共通
① 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間～1、2 週間で慣れることが多いです。 ② 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。 ③ 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。 ④ 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。 ⑤ 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。 ⑥ ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。 ⑦ ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。 ⑧ 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。 ⑨ 治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあり ます。 ⑩ 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。 ⑪ 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。 ⑫ 矯正装置を誤飲する可能性があります。 ⑬ 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物（補綴物）の一部が破損する 可能性があります。 ⑭ 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。 ⑮ 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物（補綴物）やむし歯の治療（修復物） などをやりなおす可能性があります。 ⑯ あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。 ⑰ 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。 ⑱ 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。