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2023年 9月「機能的矯正装置の使い方」説明書 改定

先月のトピックスは「取り外し矯正装置の夏のご注意」と題しまして夏場の取り外し矯正装置の注意を書かせていただきましたが、併せまして、機能的矯正装置の使い方説明書もリニューアルいたしましたので、EOA、FKOなどの取り外し式の機能的矯正装置をご使用中の方はご参照ください。

従来のものは、あまり長文ですと読むのが大変かなと、書面の方はあっさり目で、詳細は口頭にてお話させて頂いておりましたが、患者さんからの要望をうけまして、この度、口頭説明と同等の内容でリニューアルしてみました。かなりボリュームが大きくなっておりますが、引き続き口頭でのご説明はしっかり行いますので、覚書としてご利用ください。もちろん説明だけではよく分からないことや知りたいことなどのご要望がございましたら、随時反映させていただきますので、どしどしご意見をお聞かせください。

 

印刷はこちらのPDFファイルをご利用ください。 機能的矯正装置の使い方 pdf

 

 

機能的矯正装置の使い方

 

     EOA              FKO            バイオネーター

1、使用時間

・毎日寝る時に8~9時間程度着けましょう。付け忘れ防止のために装着時間のチェック表をつけましょう。

・装置に慣れないうちは寝ているうちに出してしまうことも良くあることですので、根気良く続けることが大事です。慣らすためにテレビやゲームなど他の事に集中している時に少しずつ短時間でも使って慣らしていくと効果的です。

・使用時間は長いほど効果的ですが、持続して装着しないと、例え合計時間が8時間を越えていても効果が出にくいので、慣れたらあまり短時間着けたり外したりせず、持続的に装着しましょう。晩御飯の後すぐ歯磨きをして装着し、そのまま宿題やTV、入浴などして就寝、そのまま翌朝まで装着すれば最大14時間くらいは継続できますので、余裕がある時や、速く歯を動かしたい時はがんばってみましょう。

・口呼吸の癖があると、寝ているうちに口から出しやすい場合があります。装置に空気の通り穴をあける調整をおこなったり、市販の口呼吸防止お口閉じテープを使うのも効果的です。

・寝る前には、おうちのひとに「お休み」を言いに行ったとき、「イー」の口にして、装置が正しく入っているか見てもらいましょう。慣れてくるとお子さん任せになりがちですが、「あとで入れる」といって、忘れて寝てしまったり、装置が壊れたり変形したりしていても気づかずそのまま使ってしまうお子さんも多いので、確実に装着できているか、確認してあげてください。

 

2,お手入れ

・歯ブラシでこすり洗いしましょう。流水で流すだけでは歯垢は落ちません。歯に残った歯垢が装置に移るので、歯がキレイに磨けていれば、あまり装置は汚れないはずですが、歯磨きや装置のこすり洗いが足りないと、残った歯垢が歯石になって落ちなくなったり、雑菌が繫殖して臭いが出たりします。落ちにくい場合は歯磨き粉も付けてしっかり磨きましょう。(どうしても汚れがとれなくなったら、当院での超音波洗浄をご依頼いただけますが、30分程度かかります。日々、自力できれいに出来ているか大人が見てあげましょう)

・入れ歯とは素材が違いますので入れ歯洗浄剤は使わないでください。

・熱に弱いので食器洗浄機・乾燥機にかけたりしないでください。ぬるま湯(40℃)くらいまでなら大丈夫です。真夏の車内や冬場のストーブの真横などもご注意ください。

・ケースに入れるときは、よく水気をきって拭いてください。キッチンペーパーなど敷いてもよいですが、敷きっぱなしでカビが生えないよう注意しましょう。ケースもまめに洗いましょう。

・装置は必ずケースにいれましょう。ティッシュペーパーなどにくるんで置いておくと、ゴミと間違えて捨ててしまったりしやすいので要注意です。

・室内犬、猫などいる場合には、いたずらされないように注意してください。

3、装置が変形したり壊れたりしたら

・知らないうちに装置を踏んだりして、変形したり壊れてしまう場合もあります。おかしいなと思ったら、自分で適当に直したり、ダメだと思って捨てたりせず、修理に来院しましょう。壊れたり合ってない装置をそのまま使っていると、歯並びがゆがんでしまいます。

・変形、破損で修理に来院する際は、装置と共に患者さん本人も一緒に来院してください。ご本人がいないと装置を歯に合わせることができません。

 

4、装置をつけると痛い・違和感がある

・痛い場所によって対応がかわってきますので、まずは、どこがどんな風に痛いのか聞いてみましょう。言葉や指差しではなく、口の中の痛い場所を直接指で押さえてもらって痛い場所を確認しましょう。

  • 前歯の永臼歯を押さえたとき

装置の効果が現れて、歯が動き始めるとき歯がむずむずする感じがあります。特に朝起きたときによくみられますが、外してしばらくたった時も動いた歯が元に戻ろうとするので違和感を感じることがあります。お子さんによっては、それを痛いと表現する場合もありますが、そのまま使用を続けて、2~3日すれば歯が動ききって治まりますので様子をみましょう。まったく我慢できないくらいであれば、装置の力を弱めるなどの調整を行います。

  • ぐらぐらする乳歯を押さえたとき

乳歯は抜けそうになってくると浮きあがってきますので、咬んだら痛くなることがあります。抜ければ治まりますので、様子を見てみてください。痛くて使えないようなら乳歯の抜歯、または装置の調整に来院ください。

  • 歯ぐきを押さえたとき

上記の乳歯の浮き上がりや抜け替わり、また治療の成果として歯並びが変化すると、装置の当たり方がかわってきます。当たって痛くて使えないようであれば、どこが痛いのか自分でお口の中の痛い部分を直接触ってもらって、状態を確認しましょう。歯ぐきに傷が出来ていれば赤くなっているか、白くなっているはずです。お口の変化に合わせて、装置を調整することも必要ですので、来院ください。

・しっかり使って効果が出てきたら装置がゆるい感じがしてきますが、これは歯が動いた証拠で、治療が順調に進んでいるという証拠です。

 

5、その他のご注意

・初回は様子見のために1ヵ月後来院ですが、以降の調整は基本的に2ヶ月毎になります。きちんと装置が使えていれば、2ヶ月経てば、調整した分の歯が動いて、装置がゆるくなっているはずですので、歯の動き具合にあわせて新たな調整を入れてやらないとそれ以上歯は動きません。毎日忘れず使うことと、きちんと来院して調整を受けること、この2つが効果をあげるためのポイントです。

・装置が当たって痛い部分があるかは、装着して少し経ってからでないと気づきにくいので、家に帰って「当たり」に気づくということのないよう、調整後はしばらく着けたままにして(10分程度)医院で様子を見てから帰宅すると良いでしょう。

・外泊の際は紛失や破損しやすいので、2~3日であれば、持って行かないようにしましょう。

・体調が悪い時は無理せずお休みしましょう。嘔吐とともにトイレに流してしまう、などの危険もありますのでご注意ください。

・数日以上使わないでいると、歯が元に戻ってしまい、合わなくなることがあります。軽度の場合は使用を再開してしばらくすれば、また歯がいい方へ動いて行きますが、「まったく合わない」「痛くてつけられない」といった場合は、調整が必要です。

・こういった取外しの機能的矯正装置で治療できるのは、永久歯が下の前歯4本、上の前歯2本くらい生えた頃から、12歳臼歯が生えきるまでです。永久歯が全て生えそろうと、顎の骨が固くなり効果が出にくくなります。

・取外し式の装置は患者さん自身が使わなければ一切効果が出ません。もし、お子さんが装置を使えないようなことがあれば、なぜ使えないのか理由をつきとめて、どうしたら使えるようになるのか工夫が必要です。次回予約を待たず早目にご相談ください。