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2024年 4月 歯のアクセサリー

皆さん、グリルというものをご存知でしょうか?調理器具のグリルではなく、「グリル」または「グリルズ」と呼ばれる歯に取り付けるアクセサリーの一種です。一般的にはあまりなじみのないものですが、ヒップホップのミュージシャンやラッパーの方などが着けているそうで、私もテレビで見たことがあるだけで実物はまだ見たことがありません。

数百円のおもちゃのような既製品からオーダーで作る数万円のものまで色々な種類があるようですが、主に金属製で、着脱ができ、1~2本の部分のものや前歯全体に被せるものなどあって、基本めちゃめちゃ派手なビジュアルです。(画像の手持ちがないので、気になる方は「グリル 歯」で検索してみてください。)

さて、なぜ急にラッパーファッションの話をしているかといいますと、先日 歯科材料屋さんがちょっと面白い材料をもってきてくれたからです。

早速試作してみたのがこちらの写真。石膏の歯の模型ですが、歯の部分がツヤツヤのピカピカですよね。歯ぐきの部分は薄ピンク色の石膏を使っているのでマットな薄ピンク色ですが、歯の部分はアイボリーホワイトです。

     

何がどうなっているのかというと、仕掛けはこんな感じで、歯の部分に白い樹脂製のカバーを装着しているのです。色はアイボリーとホワイトがあり、こちらはアイボリーで試作してみました。

     

 

元々の素材は矯正治療のマウスピースを作るためのもので、シート状の樹脂を専用の機械で加熱軟化し、患者さんから採得した歯型の石膏模型にプレスして作製します。通常のマウスピースは装置していても目立たないように透明なのですが、この素材は歯質の色に似せて作られたアイボリーホワイトなのです。

   《矯正装置の保定マウスピース》

   

 

また、矯正用のマウスピースは歯ぐきまで覆う形ですが、こちらのホワイトのものは歯の部分だけにトリミングしてあり、これを装着するだけで歯が白くツヤツヤになったように見えるわけです。また、多少の歯並びの凸凹なら、歯型模型で調整することでカムフラージュできます。(引っ込んでいる歯の部分を埋めてカムフラージュする感じになりますので、出っぱった歯を引っ込めることはできません)

    

  

 

この樹脂製カバーは(美白グリルスとでもいいましょうか)いわゆるグリルと同じく、歯の見た目を良くするための着脱式のアクセサリーです。(「良く」の方向性は真逆ですが…)あくまで見た目の為のアクセサリーですので、食事の際には外す必要があります。またグリルでもそうですが、既製品とオーダー品では天と地ほど差があります。完全にオーダーで個人の歯型に合わせて製作するこのタイプは、見た目にも装着感もフィットがよくお口の中を傷つけたりもしにくいです。ところが、驚いたことに、今回このトピックスを書くにあたりネットで調べてみましたら、既製品のこういったカバーが通販サイトで激安で売られていましたが、案の定、「全く合わない」「口が閉じない」など口コミはさんざんでした。歯並びや歯の大きさは個人差が大きいので、よほどのことがない限り既製品がピッタリフィットすることはないでしょう。

 

こういったものが健康上どうかというと、賛否両論あると思いますが、きちんと歯に合う形で製作されたもので、あくまでも一時的に使用するものとして、衛生面などにも気を付けながら使用する分には、ピアスやネックレスのようなアクセサリーと同じように考えてそれほど問題はないかと思います。そういったアクセサリーも合わないものであれば肩こりや皮膚炎の原因になることもありますし、健康の為につけているわけではないので、異常があれば使用しなければすむことですので、個人の判断に委ねられると思います。

ただしフィットの悪いものを無理矢理にはめ込むような入れ方をしたり、つけっぱなしにしたりすると、歯並びが変わってしまったり、歯ぐきや唇に傷が出来たり虫歯や歯周病の原因になってしまう可能性があります。特に長時間のつけっぱなしや、つけたままでの歯ぎしり・嚙みしめなどは、痛みがなくても歯やあごへの負担が蓄積します。ごく弱い圧でも長時間かかると影響が出ることがあります。文末に注意点をまとめてみましたのでご参考までに。

 

お洒落の志向は人それぞれですが、目立ってなんぼの派手派手ファッションから、ナチュラル志向まで色々なニーズがあるとおもいますが、やはり白い歯を求める方が多いのが現実です。

ただ、本当に歯を白くしたいのなら、薬剤を使って自身の天然歯を白くするホワイトニングという方法があります。今回のようなこカバータイプのものは食事の際に着脱する煩わしさや、上記のように正しく使用しないと歯や顎に影響を及ぼす可能性がありますので、第一選択としてはやはりホワイトニングのほうをおすすめします。

ただし、ホワイトニングではどうしても均一に白くできないような症例や、例えば普段の生活では気にならないけど、お仕事や発表会など人前に立つ時に一時的に白い歯になりたいなどの場合にこういう選択肢もあっても良いかなと思います。

 

歯の着脱式アクセサリーの注意点

・長時間つけっぱなしにしない。(歯並びや咬み合わせの変化・虫歯や歯周病の可能性)

・フィットの悪いものや、装着時や着脱の際に強く歯や歯ぐき・頬・唇に圧迫する感じがあるもの

 は使用しない。(歯並びや咬み合わせの変化・虫歯や歯周病の可能性)

・つけた状態でかみしめたり、歯ぎしりしない。(破損や咬み合わせの変化の可能性)

・つけた状態で飲食しない。(破損や変色・虫歯の可能性)

・清潔に扱うこと。食べかすや唾液・歯垢などきちんとブラシなどで洗って保管。

 (特に歯垢はブラシでこすり洗い)

・洗浄液などの薬液に長時間つけっぱなしにしない。

 (入れ歯洗浄剤など薬液の成分によってはひび割れ変色などを起こす場合あり)

・汚れや水分が残った状態で密閉保存しない。(雑菌の繫殖)

・高温や長時間、紫外線にさらさない。夏場の車内や洗う時の湯温に注意。

 (樹脂製の部分が変形する可能性)

 

*以上注意点は着脱式のアクセサリーに関してであり、歯を削ったり接着剤等を使用する固定式のものは別になります。